貸し会議室――需要好調、利用単価も上昇(価格追跡)

2008-09-03

日経産業新聞に当社関連記事が掲載されました。

 貸し会議室の需要が東京や大阪など大都市を中心に好調だ。企業の研修やセミナー関連の需要が高まる秋を迎え、利用率は上昇。経費削減を狙った企業がホテル利用からの転換を進めていることもあり、利用単価も上がる傾向にある。ただ、大型貸し会議室の開設が相次いでいるだけに、今後は供給過剰感が強まる可能性も出ている。

 企業の間では自前の会議スペースを持つために割高なオフィスビルを借りる代わりに、貸し会議室を利用する傾向が続いている。貸し会議室運営のファーストステップ(東京・目黒)によると、利用照会は前年同月比で一―二割程度伸びているという。

 貸し会議室大手のティーケーピー(東京・中央)の場合、今年の大規模施設の一人当たり平均利用単価(貸し会議室の利用料金を定員数で割った額)は一時間四百二十五円程度。昨年に比べて二十円(五%)上がった。

 夏休み期間の七―八月は貸し会議室の需要が落ち込む時期で、「施設の稼働率が低下した」との声が多かったが、九月から十一月にかけては秋の需要期に当たり、今後は上向く見通し。社員研修や内定者研修のほか、入社試験向けに借りる企業も多いためだ。

 これまでホテルを利用してきた企業が割安感のある貸し会議室にシフトする流れも続いている。貸し会議室の法人需要は完全に定着したといえそうだ。

 供給面では大型施設の増加が目立つ。ティーケーピーは東京の港区や渋谷区など都心部に集合施設を相次ぎ開設している。四月に新設した渋谷区の「代々木ビジネスセンター」は全三十四室に計三千近い席数を備えており、最も大きな部屋は三百六人を収容できる。

 大型施設の供給が増えている背景には、オフィスビルの需給に緩和感が強まっていることがある。「空きオフィスビルの活用に有効」と注目するオーナーが、貸し会議室運営会社に話を持ち込むケースが多い。不動産会社が運営に乗り出す例も目立ってきた。

 これまでは東京が中心だった大規模な貸し会議室の設置は今後、大阪や札幌、福岡など地方中核都市などにも広がっていく見通し。ただ、東京などでは供給が急増しているため、将来の供給過剰を予測する声も一部で聞かれ始めた。(安藤秀聡)