貸し会議室――空きビル転用、先安期待(耳より価格情報

2008-10-27

日経産業新聞に当社記事が掲載されました。

 貸し会議室の需要が底堅い。経費削減などを理由に会議室のスペースを長期的に確保する代わりに、必要な時間分だけスペースを借りる企業が増えているためだ。ただ金融危機や景気減速で東京都心部などではビルの空き室が目立つようになり、貸し会議室用に転用する例も増えてきた。割安で立地条件のいい物件を借りやすくなるとの声も出ている。

 貸し会議室の単価は現在、一時間・利用者一人当たりで百円から三百円程度が主流。この二―三年はほぼ横ばいだ。最大手のティーケーピー(東京・中央)が東京・八重洲で運営する施設では、二百八十人収容可能な部屋で利用料金を一時間七万五千六百円に設定している。

 需要のピークは春の二月―五月と秋の九月―十一月の年二回。今年も秋の需要期を迎えたが、社員研修や法人のセミナーなどを中心に利用が多いという。運営会社のファーストステップ(東京・目黒)は「来春の予約もすでに入っている」としている。時期を選べるイベントなら、ピークを外した方が安く借りられるかもしれない。

 専業の貸し会議室サービスが普及し始めてまだ四、五年。従来からあったホテルや公共施設の会議室から利用者がシフトし、徐々に認知度が高まってきた。手軽さから継続利用する企業が多く、リピーターの比率は約八割に達するとの指摘もある。用途は様々で研修や会議、面接のほか、採用試験や株主総会の会場としても使われる。

 四年ほど前は五十人程度を収容できる部屋が中心だったが、最近は三百人規模の収容力を持つ大会議室が増加。地方都市にもだんだん広がってきた。ティーケーピーの場合、関西地区の拠点数はこの一年で二カ所から十一カ所に増え、室数も八室から四十室に拡大した。

 今後とくに供給が増えそうなのが収容人数の多い大型の会議室。東京都心部をはじめ全国のオフィス街でビルの空き室が増えているためだ。

 元来、貸し会議室はビルオーナーの空き室対策として普及した不況型のビジネスだ。借りる側の旺盛な需要はしばらく続きそうだが、空き室の供給が増え、貸し会議室の運営会社がスペースを確保しやすくなれば、地域や物件によって値下がりが期待できる。(安藤秀聡)