【飛躍カンパニー】映画館、新コンセプトで再生 TKP、キネマ旬報社と提携

2012-10-23

フジサンケイビジネスアイに当社記事が掲載されました。

貸し会議室大手のティーケーピー(東京都中央区、TKP)は、映画館事業に参入する。その第1弾として、映画雑誌などを出版するキネマ旬報社(東京都港区)と提携し、2013年1月にも千葉県柏市で映画館「TKPシアター柏 powered by キネマ旬報(仮称)」をオープンする。

 新たにオープンする映画館は、東武鉄道が今年3月末に閉館した映画館「柏ステーションシアター」を、TKPが東武鉄道から借りてリニューアルする。改装費用は約4000万円。スクリーンの数は3つで、収容人員は約600人。営業時間は午前9時~午後10時。初年度の黒字化を目指している。

 ただ、映画館の経営環境は厳しさが増している。1つの映画館の中に複数のスクリーンがあるシネマコンプレックス(複合映画館)が台頭しているほか、映画館の老朽化やデジタル化への投資負担が増加し、閉館に追い込まれる中小の映画館は少なくないためだ。キネマ旬報社によると、その数は今年に入ってからだけで50を超える。

 こうした逆風の中で、TKPが映画館事業に参入するのは「映画館を会議室に変えられないか」と相談を持ちかける映画館のオーナーが多いためだ。しかし、映画館の規模や立地などさまざまな面から会議室への転用は難しく、ほとんど転用ができないのが実情だ。それならば、これまでにない新しいコンセプトを持った映画館として生まれ変わらせようと判断。映画館事業に乗り出し、映画館オーナーのニーズに応える。

 映画館の売りは、運営が映画関連事業にノウハウを持つキネマ旬報社が担当することだ。新作だけではなく、通常の映画館では上映していない過去の名作なども上映する。また、時間帯によって異なる映画を上映したり、イベント施設として活用する方針で、高齢者から子供まで幅広い年代に足を運んでもらいたい考えだ。キネマ旬報社の映画雑誌「キネマ旬報」や映画サイトなどとも連動した企画も展開し、映画ファンのハートをつかみたい考えだ。今後の事業展開については「映画館の運営ノウハウを蓄積し、将来的には全国展開したい」(TKPの横岩利恵企画部部長)と意気込む。(松元洋平)