【東京発 元気印】ティーケーピー(TKP)

2010-05-13 フジサンケイビジネスアイ【東京発 元気印】に当社記事が掲載されました。
 ■貸し会議室展開 事業仕分けの舞台にも

 独立行政法人を対象として、4月下旬に行われた「行政刷新会議」の事業仕分け第2弾。第1弾と同様に激しい攻防が繰り広げられたが、その舞台となったのが「TKP東京駅日本橋ビジネスセンター」(東京都中央区)。貸し会議室事業を展開するティーケーピー(TKP)が、事業用に運営する会議室だ。

 ◆主要都市に500室

 TKPは現在、東京をはじめ大阪や名古屋、博多など全国主要都市で約500室(3万1000席相当)の貸し会議室を運営している。会議室を確保する際には場所にこだわり、ほとんどが主要駅から徒歩5分以内のところにあるのが特徴だ。

 創業者は現社長の河野貴輝氏。事業を開始したのは2005年だが、それからさかのぼること二十数年も前に“実業”の世界に足を踏み入れていた。祖父が大分県別府市で海の家を営んでおり、不在時などに「子ども店長」を名乗って、自らの判断で切り盛りしていた。

 真の事業欲に目覚めたのは慶大商学部に入学してから。卒業後は伊藤忠商事に入社し、為替証券部のディーラーとして腕をふるう。当時の社長は丹羽宇一郎氏(現会長)。インターネット証券会社の設立を目指していたところ、設立メンバーの一人として河野氏に白羽の矢が立ち、カブドットコム証券の設立(1999年11月)に携わった。

 そのころはインターネットオークションが一般に普及し始めて間もないころ。サイドビジネスとして、オークションを通じタレントグッズの売買などで利ざやを稼ぐうちに「インターネットの時代が確実に到来する」との確信を抱いていた。その後、伊藤忠を退社してイーバンク銀行の設立(2000年1月、現楽天銀行)に参画する。

 ゼロからのスタートを余儀なくされたが、資金集めなどを通じて有力企業の経営者と出会い、「起業して一国一城の主になる」という目標に向けた貴重な財産となる。併せて「コアコンピタンス(他社がまねできない力)を持たなければ企業の存続は難しい」との考えも固めていた。

 ◆コスト意識が原動力

 創業した05年前後は、ベンチャー系企業の上場ラッシュ。しかし、河野社長はこうした動きを苦々しく眺めていた。「実態が見えにくい企業が少なくない」からで、新会社の設立に当たっては「本当によい事業を自分で抱えてやり遂げる」という目標を打ち出した。

 しかし、その目標を達成するには一定の資金が不可欠。そこで目を付けたのが貸し会議室事業。東京・六本木のビルの空きスペースを会議室にして貸したところ、引き合いが相次いだ。土日しか使用されていない結婚式場などを対象に二の矢、三の矢を放ったところ、同じような現象が起きた。「こんなに需要が多いとは、まったく予想していなかった」と河野社長は振り返る。売上高も飛躍的に増えていった。

 成長の原動力となったのは、企業のコスト意識の一段の高まりだ。「大きな会議室を保有するよりも借りた方が得」という考え方が企業に広がり、これに「貸会議室ネット」を核としたIT(情報技術)戦略が有機的に結びついた。

 現在力を入れているのが、研修講師の派遣やケータリングサービスといった、貸し会議室から派生するビジネスだ。リーマン・ショック後の景気低迷によって新入社員研修などが減り、苦境に陥ったが、これを教訓に筋肉質な会社を目指した体質強化に力を注いだ。

 「企業のニーズにすべて対応していきたい」-。企業がアウトソーシングを通じ経費削減を推し進める動きをとらえ、3年後には約3倍に当たる100億円まで売上高を拡大する計画だ。(伊藤俊祐)

【会社概要】ティーケーピー

 ▽本社=東京都中央区日本橋茅場町3の7の3 
 (TEL03・5614・6677)
 ▽設立=2005年
 ▽資本金=2億8779万5000円
 ▽売上高=35億円
 ▽従業員=200人
 ▽事業内容=貸し会議室、企業向け総合アウトソーシング

 ≪インタビュー≫

 □河野貴輝社長

 ■ソフト戦略の拡充が重要

 --貸し会議室のニーズが急速に高まっている

 「例えば200人の社員が出席する会合を開くには、最低でも330平方メートルのスペースを確保する必要がある。3.3平方メートル当たり月4万円で賃借関係を締結していれば、毎月400万円のほか維持管理費が必要となる。一方、当社の貸し会議室では、同じ条件で1人当たり1時間200円の部屋を借りた場合、3時間の契約でも1日12万円の出費で済む。経費に圧倒的な差があり、これが当社が支持される理由だ」

 --具体的なビジネスモデルは

 「契約先の企業から会議の年間スケジュールをもらい、余った部分はインターネットを通じ時間貸しする仕組みだ。これによって、例えば昼間はセミナー、夜は懇親会やコミュニティー教室、土日は資格関連の試験会場といったように多種多様な活用ができる。最近はスペースに高い質を求めるニーズも向上している。このため雑居ビルの『スター』、会議室の集合体である『ビジネスセンター』、ホテルのような質を売り物とする『カンファレンスセンター』という3つのグレードを用意しているが、年々、カンファレンスセンターへのニーズが強まっている」

 --こうした動きにどういった形で対応しているのか

 「単に快適な空間を提供するだけではホテルを超えることはできない。最も重要なのはソフト戦略の拡充。アウトソーシング事業で付加価値をつけることが必要だ」

 --海外にも目を向けている
 「上海にはすでに会議室を設けている。ニューヨークには新たに駐在員を派遣する。少なくとも証券取引所がある場所で攻勢をかけたい」

--最終的な目標として企業再生を掲げている

 「当社が目標に掲げているのは情報商社。アウトソーシングは企業支援事業に発展すると確信している。また、実力はあるのに日の目を見ていない事業・人に焦点を当てて再生を図っていきたい」

【プロフィール】河野貴輝

 かわの・たかてる 慶大商卒。1996年伊藤忠商事入社。カブドットコム証券の設立に携わり、2000年イーバンク銀行(現楽天銀行)に移り、営業部長などを歴任。05年にティーケーピー(TKP)を設立、社長に就任。37歳。大分県出身。

 ≪イチ押し!≫

 ■臨場感あるテレビ会議を実現

 東京から地方に講師を派遣して、大規模なセミナーを開催したい。しかし、コストの問題もあって、実現はなかなか難しい-。そんなニーズに応えるため、東京と大阪、札幌、博多の拠点でサービスを開始したのが、テレビ会議システムだ。

 各拠点に数百人単位の聴衆を呼んで拠点間を回線で結び、それぞれの会場の様子をリアルタイムに確認できるのが特徴。東京の会場に招いた講師の話を博多の会場で聞くことができるなど、場所を選ばない。ソニーのシステムを活用し、「臨場感あふれる見せ方をする点に工夫を凝らした」(河野社長)。当然、会場から質問があれば、その質問者の姿をズームアップし、映像を瞬時に映し出す機動性も備えている。コストを抑制できることから、全国規模の大規模セミナーを中心に引き合いが多い。河野社長は「さまざまな利用法を提唱し普及に力を入れたい」と語っている。